「うわ、結構客いるなぁ…」




奈津は厨房(と称したガスコンロの並んだ空間)のカーテン越しに遮られた教室を覗いていた。



机を3、4個くっつけたテーブルを数個設置した教室には、結構な数の人が入っていた。




「まあ、私と亜紀が宣伝してきたからね」




そう言って、奈津の横には制服に少しおしゃれなエプロンをつけた美冬が立っていた。




「えらく自信満々だな、おい」



「当然よ、男共なんて、ちょっと声色変えて子猫のような声出せば、盛りのついた犬みたいに群がってくるんだから」



「い、犬………」




奈津も男であるからして、軽くへこんだ。



男の性、とゆうか、女の怖さ、とゆうものに。




「まあ、亜紀は素なんだけど、それでも十二分に効果はあったわ。

あちこちで男共が見惚れてたもの」



「み、美冬ちゃん…!!」




いつの間にか、側には亜紀も立っていた。



美冬の言葉が恥ずかしかったのか、茹で上がったタコのように顔を真っ赤にし、両手を頬にそえていた。