危険な彼女

はあはあ、と肩で息をする。


どういうわけか桜と会話するといつもの倍以上の体力が必要だった。



「それくらい元気があるなら歩けばよかったんじゃない?」



「いや、それはめんどくさいというか…

さすがにキツいというか…」



そこまで言って、さっき浮かんだ疑問を思い出した。


桜が何故自分を車に乗せる気になったのか?


そういえばまだ聞いてなかった気がする。




「………あのさ、何で乗せてくれる気になったんだ?」



「………え?

えっと…あ………」



奈津が問い掛けると、桜は急に動揺し始めた。


こんなことに動揺するなんてやっぱりおかしい。

やはり拉致………


いや、どっかに売られたり…



などと少々病んだ考えが奈津の脳内をよぎった。