危険な彼女

「何をしとるんじゃ。
ほれ、急がんか」



「い、いや…
今日はちょっと…」




と、一拍おいて、ちらっとキッチンにいる桜と彩芽に視線を送る。



二人とも祖父が帰ってきていることには気づいていないようだ。



唯一の逃げ道であったであろう二人に見放され(?)、奈津はとうとう言い訳が作れなくなった。




「彩芽〜、お前も一緒に稽古せんか〜?」




しかし、二人に視線を送ったことが幸をそうしたのか、祖父の方が彩芽に声をかけた。




「あ、おじいちゃん帰ってたんだ。

ごめんなさい、今日は桜ちゃんとお料理なの♪」



「そうか…、残念じゃのぉ…」




――諦め早っ!!




この後、げんなりした奈津が道場へ強制連行されたのは言うまでもない。