危険な彼女

くるっと向きを変えると、あろうことか桜が彩芽へ頭を下げた。




「彩芽先生、一番おいしいお菓子の作り方、教えて!!」




――やっぱり…




案の定、桜は妙な対抗意識を持ったらしい。



奈津は、はぁ…、と一息ため息をついた。




そして、苦い表情をする。



奈津の不安要素は桜だけではない。



負けず嫌いな人物に、もう一人心当たりがあった。



やけに校則や時間に厳しく、どうゆうわけか自分を目の敵にするあの委員長である。




「疲れそうだ………」




奈津は、桜と彩芽のエプロン姿を見ながら、さっきつぶやいた言葉をもう一度つぶやいた。