危険な彼女

「ふざけんな!!

こっから家までどんだけ離れてると思ってんだ!!!」



「宇宙から見たらちっぽけな距離よ」




――どういう例えだ………



奈津はため息をつきながら桜を見た。


一瞬でもかわいらしいとこがあると思った自分が憎い………



「………わかったよ、じゃあな」



どうせ何言っても無駄だと思った奈津はとぼとぼ足を進めた。



ここから何分、いや、何時間かかるだろうか、と奈津はぼんやり考えながら携帯を開く。




すると、どういうわけか予想外の展開が起こった。



「……ねぇ、

あんたの家ってそんなに遠いの?」



「え?

………ああ、まあ」



何故か、去り行く自分に桜は声をかけてきたのである。


当然、奈津は耳を疑った。



「………そう。

なら、仕方ないわね。
ついでだから送ってあげるわよ」



「………え?」



「何で戦闘態勢をとるのよ…」



「いや、どこかに拉致って拷問でもされんのかと…」



「じぃや、車出して」



「ごめんなさい!!

許して下さい桜様ぁ!!!」