危険な彼女

ドサッ!!




男は受け身をとることができず、頭から地面に叩きつけられた。



痛みからか、男はごろごろと体をよじる。




奈津は着地すると、男の側まで歩き、男の顔面すれすれを思いきり踏みつけた。




「今度亜紀に手ぇ出したら………どうなるか分かるよな?」




その言葉に、男は言いようのない恐怖を感じ、こくこくと縦に首を振った。



そして、慌てて立ち上がると、仲間の男を引き連れて一目散に逃げ出した。





「ったく………

ナイフで人を傷つける覚悟もないやつがナイフなんか使うんじゃねぇっての」




奈津は服についた土をパンパンとはらいながらつぶやいた。



そして、座り込んだ亜紀に少し気まずそうな視線をむける。




「………た、立てるか?」




腰を下ろし、座り込んだ亜紀に視線を合わせると、恥ずかしそうに頭をポリポリとかいた。



亜紀はというと、嵐のように過ぎ去った出来事にきょとんとしていた。




「どっか怪我とかしてないか?」



「う、うん………」



「あ…、ちょっと浴衣汚れちまったな………

ごめん、俺、要領悪いからさ…」




その言葉に、亜紀はハッとした。