危険な彼女

二人を倒し、奈津は最後の一人へと目をやった。


何が起こったのか未だ理解できていない男は、あたふたと慌てながら倒れた仲間に目をやる。



そんな男を尻目に、奈津はゆっくりと男に近づいていった。




「く…来るなっ!!!」




男は奈津の姿に恐怖を感じたのか、そばにいた亜紀をぐいっと引き寄せた。



そして、右手から収納式のナイフを取り出す。




「それ以上近づいたら…

この子、どうなるかわかるよな?」




形勢逆転とばかりに男はニヤッと笑った。




ナイフをつきつけられ、亜紀はガタガタと震えた。



涙をポロポロと流しながら奈津を見ている。




「………大丈夫、心配すんな」




そんな亜紀を安心させるかのように、奈津は微笑んだ。