危険な彼女

ガシッ



男の振り出した拳の勢いのまま、肩に背負い、そのまま投げる。



そして、地面に投げ倒され、無防備になった男にのしかかるようにして胸部に肘鉄。



普通の人間なら軽い呼吸困難に陥りかねない危険な技だ。




「てめぇ!!!」




それを見た男の仲間の内、一人が奈津へ殴りかかろうとした。



奈津は、その男が拳を出そうとした瞬間よりも早く、男の肩に掌底をきめる。



人間の関節の造り上、ここに掌底を受けると、それ以上腕がのばせなくなるのだ。




ちなみに、これは武術道場師範である、奈津の祖父の受け売りだった。




奈津は、男に隙ができたのを見逃さず、一歩踏み出し、掌底をした手と逆の手で男の顎を殴る。



顎への一撃は脳へつながり、人間の平衡感覚を失わさせる。



案の定、男の足がぐらついた。



それに合わせるようにして男の足を一蹴。



ぐらついた足が耐えきれるわけなく、男はガクッと膝をついた。