危険な彼女

〜奈津side〜




視界に映る亜紀の表情は悲しみや恐怖や疑問が入り混じった表情をしていた。



そして、その顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。




ふいに、拳に力が入る。




亜紀を悲しまさせた自分への怒りと、亜紀を恐がらせているチンピラへの怒り、そして、亜紀を泣かせた自分とチンピラへの怒り。




様々な感情と怒りが、奈津の中で湧き上がっていた。




｢お前ら………｣




力が入った拳がぷるぷると震える。



今に殴りかかってもおかしくなかった。





すると、男たちの中の一人が奈津に近づいてきた。




｢お前、何？

じゃまなんだ………よ！！！｣




その言葉と同時に、男の拳が飛んできた。