危険な彼女

――やっぱり、なっちゃんは…




心の中で何度もつぶやく。



それこそ、奈津へ募る気持ちを抑え込むように。



「ヒック……ヒック………」




亜紀は浴衣の袖で涙を何度も何度も拭った。





そのときだった。



自分に近づいてくる影に気づいたのは。




「あれ…どうしたの、きみ?

こんなところで一人で泣いて」




知らない男の人だった。



しかも、複数。




「うわ、めちゃくちゃかわいい…」



「この子、ひとりかなあ…」



「何で泣いてんの…?

………男にでも振られた?」




最後の言葉に亜紀はビクッと体を震わせた。



その反応を見て、男たちは徐々に亜紀に近づいてくる。




「なんならさ、俺らと遊ばない?」



「そうそう、嫌なこととか忘れてさ」



「きっと楽しいよ〜?」




――………怖い。




男たちの言葉に、亜紀が思ったことはそれだけだった。