危険な彼女

〜亜紀side〜




「クスン………」




亜紀は一人、神社の石段に座り込んで泣いていた。




まさかあんな場面に出くわすとは思わなかった。


あれ以来気まずくなっていた関係を何とかしようと、お祭りに誘ってみようとしたところ、奈津は家にいなかった。



彩芽の話では一人でお祭りの会場に走っていったらしく、うまくいけばばったり会うかもしれないと思い、亜紀も一人で向かった。




…しかし、そこで見たのは見たくない光景だった。




奈津の姿を見つけ、急いで駆け寄ってみると、側にいたのは桜。



おまけに二人は手までつないでいた。



何となく二人の関係に気づいてはいたものの、いざハッキリ見せられると悲しくなった。



どうしたらいいのか分からず、つい逃げてしまった。




言いようのない感情。




それらが一気に押し寄せ、流れる涙を止めることはできなかった。