危険な彼女

「ごめんな、桜………

ほんとにごめん………」




優しく頬をさすり、涙の跡を消していった。



しかし、次々に桜の涙はこぼれ、今度は奈津の手を伝いはじめた。




「さっきの言葉は本心じゃないんだろ?

ちゃんとわかってるから…」





奈津がそう言うと、桜は頭だけを奈津の胸に預けるようにして体を寄せてきた。



頭だけ奈津の胸にくっつけているため、バランスが悪いと思った奈津は桜の肩に手をあてた。




「………私も…ごめん」




桜は奈津の胸に向かって、ぽつりとつぶやいた。



桜が謝ってきたのは初めてで、思わず戸惑う。




「何で謝るんだよ…?

お前は悪くない…
悪くないから………」




そっと、自然な仕草で桜の頭を優しくなでる。



まるで、子供の頭をなでているようだった。