危険な彼女

ばっ、と振り返り、声の主を探した。



すると、人ごみの中にぽつんと一人で立つ亜紀と目があった。




「あ、亜紀…」



「な、なっちゃんもきてたんだ……ね………?」




亜紀は言葉の語尾をうまく発せていなかった。



目を見開き、急にそわそわし始めた。



視線があちこちに飛んでいる。



しかし、その定まらない視線の中で、二つだけ定まった視線を送る場所があった。




桜と………




その、桜の手と奈津の手である。




「あ、えと………」




気まずそうに亜紀は言葉を濁らせる。



亜紀の動揺に気づいた奈津は、慌ててつないだ手を離した。




「ち、違う!!

これははぐれないように…!」



「そ、そっか!

そ…そう…だよね………」




納得したかのようにニッコリ笑う亜紀。



しかし、その笑みは今にも崩れそうだった。