危険な彼女

「プレゼントってさ…

何を買うかじゃないだろ?」



「え………?」



「大事なのは誰が誰にどんな気持ちで渡したか。

そういう簡単なものだろ?



漫画一冊だろうと、ゲーセンのぬいぐるみだろうと、CDだろうと………


妹からもらうプレゼントなら何だって嬉しいと思うけどな?」



「そう………なの?」



「ま、俺はそう思う」




奈津の言葉に何を思ったのか桜は急にうつむいた。



そして、うつむいたままつぶやく。




「これ………

買ってくる………」




桜はそう言うと、身をひるがえし、ゆっくりとした足どりで精算に向かった。



その対応があまりに素直すぎて奈津は驚いた。



そして、嫌な想像が頭をめぐり、思わず身震いする。





お兄ちゃんあんまり喜ばなかったじゃない!、あんたが選んだんだからあんたが悪いのよ!、罰として今日一日犬語以外禁止!





まだ出会ってからあまり日は経っていないが、反射的にそういう方向へ思考が回っていくようになっていた。