危険な彼女

気がつくと、前に並んでいた人たちは消え、店員が注文をたずねてきた。



桜は慌てて綿あめを一つ注文する。
(もちろん支払いは奈津)




恥ずかしさからか、二人は逃げるようにして綿あめ屋を後にした。



そして、人ごみに紛れ込む。




「ま、まあ気にするな。

二人、と言っても人がこんだけいるんだ。
団体で来たことにしよう」




人ごみをかきわけながら、奈津は頬をぽりぽりとかきながら言った。




「………は?」



「…いや、すまん、忘れてくれ」




――何言ってんだ俺は!!!




頭を抱え、桜と距離をとる。



自分でも意味のわからない言葉に、奈津は混乱していた。




「………馬鹿ねぇ」



「う、うるせぇ!!」




そう言って振り返ると、ニヤニヤ笑う桜が立っていた。



意地らしい、小悪魔のような印象を与える笑みだった。




「ほら、いくわよ」



「え、あ、ちょっ…」




そう言うと、桜は自然に奈津の手を握り、奈津を引っ張るようにして歩き始めた。