危険な彼女

一人イライラしている奈津を尻目に、彩芽はお茶を飲み、ふぅ、と一息ついていた。



そして、ぽつりと一言。




「家にいるときくらい料理からは離れたいのよぉ…」




目に涙をため、子供のような潤んだ瞳で、尚且つ上目遣いで言う彩芽。



普通の男ならイチコロだろう。



しかし、奈津は身内であるからして。




「どうゆう理由だ!!!

普通、家にいないときくらいだろうが!!!」



「ちぇ〜………

つれないなぁ………」




彩芽は口をとがらせ、ブーブーと文句を言い始めた。



構ってられん、とばかりに奈津は肩を落とし、部屋に向かおうとした。





………そのときだった。




「な、なっちゃん…

私、ご飯、作って…ほしい……な…」




その声にバッと振り返った。