危険な彼女

なかなか話が進まない。



奈津はめんどくさそうに頭をかき、ベッドに横になりながら話し始めた。




「笑わないから、とにかく言ってみろって」



『笑うとかじゃなくて…』



「じゃあ…何?」



『………亜紀ちゃん』




――!




反射的に奈津は体を起こした。



たしかに最近は亜紀のことばかり考えていたが、桜にまで感づかれる覚えはなかった。



奈津はゴクリと唾を飲み込み、口を開いた。




「亜紀が…どうかしたのか?」




できることなら桜には感づかれてほしくなかった。



奈津は複雑な心境の中で桜の言葉を待った。