「………俺、帰っちゃダメ?」




ほんとにそう思う。


奈津がいてもいなくても特に変わりそうもない。



しかし、桜がそれを許しそうにはなかった。




「ダメ、ここにいなさい」


「だから、何でだよッ!?」



「今日はお兄ちゃんの誕生日プレゼントを買いにきたの。

あんたみたいなやつでも、一応は男の意見を聞きたいの」



「なッ…!?」




あんたみたいなやつでも?


聞き捨てならない言葉である。



俺っていったい…、と奈津は本気で泣きそうになった。




「ってか、兄ちゃんいたんだ…」



「いちゃ悪い?

言っとくけど、お兄ちゃんはあんたの百倍いい男よ」



「……………」




奈津の男のプライドズタズタである。