危険な彼女

〜亜紀side〜




亜紀は、必死に笑顔をつくっていた。



この笑顔が崩れた途端、一気に不安が溢れ出し、泣き出してしまうかもしれない。



そんな予感が胸を締めつけ、亜紀は楽しいことを懸命に思い浮かべた。




「…………」




奈津は何も言ってくれない。



それがさらに亜紀の不安をかりたてた。





――やっぱり…私じゃダメなのかな………


せっかく…変わろうとしたのにな………





亜紀はあの日決心していた。



桜を恋のライバルと意識し、待っているだけでは、美冬に頼ってばかりではダメなんだと悟り、行動することを決めた。




そして今、こうして言ったとゆうのに………



やっぱり、慣れないことはするものじゃないと知った。




現に、奈津は戸惑った表情のまま視点の定まらない眼差しで自分を見ている。



自分が変な子に見られている、亜紀は直感的にそう感じた。