危険な彼女

「なっちゃんはいい人だよ、私はそう思う。

たいそうな人じゃないって言うけれど………


私にとって、なっちゃんはヒーローだもん」




――!




思わず体がビクついた。



――ヒーロー?

なんだそれ?




奈津には一切の見に覚えがなかった。



たしかに特撮戦隊ものは好きだったし、小さいときはふざけてヒーローごっこなんて遊びもした。



しかし、だからと言って、亜紀のヒーローになんてなった覚えがなかった。




「ヒーローって…何のことだ?」



「そのままの意味だよ?

私が泣いてたり、困ってたりしたら、いつでも、すぐに駆けつけてくれるヒーロー」




当然、とゆう風に言う亜紀。



亜紀は、どんな表情で、どんな気持ちでそんなことを言っているのだろう。



背を向けて話している状況が、何だか急にもどかしくなってきた。