「なあ、どこ行くんだよ?」




あの後、当然のように校門にベンツが現れ、奈津はその車内に揺られている。



桜はめんどくさそうに奈津を見ると、窓の外に視線を移した。




「私がよく行く店よ」



「そんなの一人で行けばいいじゃねぇか」



「………男の感性も必要なのよ」



桜がそう言うと、車は停車した。



そして、車を降りると目の前にはショーウインドウに有名ブランドがずらりと並んだ店があった。



「な、何だこれ…」




着いた店は、明らかに庶民はお断り的な雰囲気全開の高級な店だった。



そんな店を前にして、奈津は改めて桜の住む世界を再認識した。



自分たちがいる世界とは違う、高い世界。



奈津は桜を見ながら、思わずため息をついた。