危険な彼女

「あ、ああ…

俺の…姉ちゃん………」




そう言って奈津は肩をがっくしと落とした。




幼い頃から奈津は姉に振り回されている、もっと言うと、からかわれ続けてきた。



小さいときに植えつけられた感情とはなかなか消えないもので、奈津は姉とゆうものが極度に苦手になってしまっていた。


よって、姉が同じ高校にいるだなんて地獄以外の何物でもないのである。




「やっぱり、彩芽お姉ちゃんなんだ…」




ぽつりと亜紀がつぶやいた。



奈津と亜紀は小さい頃からの幼なじみ。




それ故に、亜紀にとって、奈津の姉は自分にとっても姉のような存在であった。



奈津と違い、亜紀にとってはいいお姉ちゃんだったらしく、亜紀の表情は自然と柔らかいものになっていた。