危険な彼女

「なんやなんや?

奈津、急にげんなりしよって♪」




――わかってるくせに………




奈津と春の二人は中学からの付き合い。



もちろん、家にきたこともあるので、そのときは姉も家にいたため、春は前に一度会っているのである。




「なぁーんか見たことある顔やなぁ………


奈津、『おねぇちゃーん、今までどこ行ってたの、寂しかったよぉ〜』って言ってみてくれん?」


「絶対に嫌だ」




絶対を強く強調し、恨めしい眼差しを春に送る。


そんな奈津を尻目に、春はとても楽しそうに大爆笑するのであった。




「なっちゃん…

あの人………」




くい、と制服の袖を引き、見上げるようにして亜紀がたずねてきた。



世の中には上目遣いとゆう言葉があるのだが、亜紀はそれを知っているのか否や。



おそらく知らないのだが、奈津がどぎまぎするのには十分な効果があった。