危険な彼女

「あちゃー…

進歩してないのね…」




そう言って、彩芽先生は頭に手を当ててため息を一つ。



何となくだが、母親のような姿を連想させる仕草だった。




「おっと、職員室に着いたみたいね」




美冬はハッと顔を上げた。



話に気を取られていたせいか、周りのことが目に入らなくなっていた。




「じゃあ、どうもありがとう。

いつでも保健室に来てね。
またおしゃべりしましょ?」




彩芽先生はニコッと微笑み、職員室のドアをノックした。



そこで美冬は、やっと、肝心なことを聞いていなかったことを思い出す。




「………あ、あの!」



「………ん、なあに?」



「柳先生と奈津君は一体…」



「………ああ、そのこと…ね♪


私と奈津は………」




ガラッ!



言葉を続けながら彩芽先生はドアを開けた。




「………姉弟よ♪」




――!




美冬は固まった。