昔はこうではなかった。



奈津はいつだって自分の手をひいてくれていた。


いじめっ子達からも体を張って守ってくれていた。



つらいときはいつでもそばにいてくれたし、困ったときは真っ先に飛んできてくれていた。





なのに………



いつからか変わってしまった。





「………なっちゃん」




ぽつりと奈津の名前を呼ぶ。



もちろん、奈津に聞こえるはずなく、亜紀の発した言葉は空気中をさまよった。




思わず泣きそうになる。



好きな人が自分を見てくれない、それがこんなにつらいものだなんて知らなかったのだ。





「……………」





長い沈黙の末、亜紀は決意したように顔を上げた。




――変わらなきゃ。

私、変わらなきゃ。




亜紀は、奈津を切なげに見つめながら、固く心に誓った。