危険な彼女

学校のプール内である。



当然のごとく桜はすぐに見つかった。



桜は奈津と同じく、足だけをプールにつけ、少しうつむきながら自分の足をぶらぶらさせているようだった。




――あいつ、
一人で何やってんだ?




奈津はじーっと桜を見つめた。



普通なら、クラスメートと一緒に泳いだり話したりしているはずである。
(奈津は例外)




しかし、桜の周りにはそんな影は一つもなく、それどころか、みんな無意識のうちに近寄らないようにしているように見えた。




――あいつ………





心なしか、桜が寂しそうな顔をしているように見えてきた。



事実、さっきから下ばかり向いていて、まったく楽しそうに見えない。