危険な彼女

うちの水泳は基本的に体育の授業らしい授業は行わない。



泳げない人や、水が苦手な人を考慮した措置らしい。




よって、基本、皆自由にしているわけだ。






「あ〜、平和だ………」





奈津もその一人であった。



日頃の疲れを癒すかのように、足だけプールに入った状態で仰向けに寝転がる。





――いいなぁ、自由って…

やっぱりのんびり過ごすのが俺の性にあってるな………





………などと思ったときである。



ふと、一つの疑問が浮かんできた。





――そういえば、桜は?





そうなのである。



せっかく体育が合同なのだ。


何か命令の一つでもしてきてもおかしくはない。



…なのに、ない。





不審に思った奈津はむくりと起き上がり、桜の姿を探した。