危険な彼女

〜桜side〜




――………なによ。




不注意なのは奈津と亜紀である。



ほんの数メートルの距離での会話が桜に聞こえないはずがなかった。




聞いてないふりこそしていたものの、桜は最初から最後まで聞いていた。




そして、奈津の言葉が桜の怒りに火をつけたのであった。





――なにが、ありえない、よ!


こっちだってあんたなんか願い下げよっ!!!!




心の中ではそう叫んでいるものの、心のどこかが激しく痛んでいた。



二人の姿を見るたびに胸が締めつけられるようだった。





――………あんなこと、言ったくせに………





桜は奈津と亜紀から目を背け、一人でスタスタ歩き始めた。



これ以上二人を見ていたくない、それが本音だった。