「……………」




「…あんた、何やってんのよ?」




なかなか帰らない俺を変に思ったのか、後ろから桜が声をかける。



声の距離が近い。



恐らく、さっき投げた枕を拾いに来たのだろう。




振り返ると、枕をぬいぐるみのように抱きしめて立つ桜がいた。





「桜………」




「な、何よ………?」




どぎまぎした口調で桜が答える。






強気な雰囲気をもつ桜。



でも、女の子らしいところをちゃんと持っていることを俺は知っている。


誰かが支えてやらないといけないことを知っている。





………だから、言う。





「…な、何かあったら言えよ?


いつでも…飛んできてやる」




言ってはみたが、なかなか恥ずかしい。



奈津はポリポリと頬をかいた。





「…………!!!」





桜の顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。



こうゆう姿は、本当にかわいい、認めざるをえなくなってしまう。




「ば、ばっかじゃないの!!?

馬鹿よ、馬鹿!!!

ど、奴隷なんだからご主人様のピンチに駆けつけるなんて当然じゃない!!!」





まあ、もうちょい素直になってほしい…


とは思うのだが。




俺は少しだけため息をつき、部屋を出た。