危険な彼女

バン!!



そこにタイミング良く、と言うか、悪くというか………まあ、現れたわけだ。




風呂上がりの桜が。





「あぁ、いいお湯だった…」




桜を見た梓さんは、しめた、とばかりに立ち上がった。




「も、もう遅いね!!

そろそろ車を用意させるよ!!」




そう言って梓さんは一目散に部屋から出て行った。


頭の悪い奈津でもわかる。




「逃げた…な………」




奈津は結局、疑問を解消することなく忘れることにした。


見る限り冷静そうな梓さんが、あれだけ取り乱すのだから、きっとすごい話なのだろうが………




まあ、仕方ない。











………と思ったが、やっぱり忘れるのはなしにして、頭の片隅に置いておこう。





「お兄ちゃんったら、あんなに慌ててどうしたのかしら?」




「なあ、桜………


『さすがは桜がす………』のあとに続く言葉って何か分かるか?


梓さんが俺に言ってきたんだが………」




「え?

お兄ちゃんが…?」




そう言うと、桜は口元に手をやり、ぶつぶつとつぶやきながら考え始めた。





「さすがは桜がす…す…すぅ………



………………





………す、すぅ!!!?」





そこまで言うと、桜は顔を熟したイチゴのように真っ赤にさせ、ボン!、とゆう音とともに倒れかけた。