危険な彼女

奈津は教室に戻るなり、ガタンと大きな音をたてて席に着いた。



そして、買ってきたパンと牛乳を机に並べる。





「少ねぇよなぁ………」




奈津はあまりに少ない昼食を前にしてがっくりと肩を落とす。



それもそのはず。



奈津は、大食いというわけではないが、かといって小食でもない。



そもそも、健全な男子高校生がパンと牛乳だけで腹が満たされるはずがないのだ。




「あーあ………

マジでどうしよう…」




奈津は机に顔を伏せた。



そして、待ってました、とばかりにタイミングよく腹の音が鳴る。




(わかってる…わかってるから…今は落ち着いてくれ、俺の腹の虫…)




そんなことを思っていると、いつの間にか目の前には一人の女の子が。



その子は、うつむいて、もじもじしながら奈津を見ていた。




「な、なっちゃ………


あ、間違っ…な、奈津君………」




なっちゃんでいいと言ったのに、奈津君。



慣れない呼ばれ方に、奈津は違和感を覚えた。