危険な彼女

「いてて………」




奈津は春に叩かれた頭をさすりながら売店に向かった。



運の悪いことに、ちゃんと弁当を作ったにも関わらず、忘れてしまい、仕方なく売店でパンを買うことになってしまった。




「なんか…高校生になった途端、俺の不幸体質に磨きがかかってきたきがするな………」




そんなことをつぶやきながら、売店のおばちゃんにパンを二つ、コーヒー牛乳を一つ渡した。




「え〜と…350円ね」




そう言われ、財布を取り出す。



…そして、固まった。




「あれ………た、足りない」




財布の中を見ると無情にも230円しかなかった。



ゴクリと唾を飲む。



とりあえず、精算はまだか、と少し睨んでくるおばちゃんの顔を見てみる。



そして、意を決して奈津は言った。




「おばちゃん…

ツケってやってる?」



「そんなのやってるわけないでしょ!!!」




そりゃそうだ。



奈津は分かりきっていた返事に肩を落とした。