危険な彼女

ドゴッ!!




「っ!!!」





奈津はいきなり背後から殴られた。



痛い。


普通に痛い。


後頭部がひりひりする。



「いってぇ!!!

誰だ!?
いきなり何しやがる!!!」



「朝っぱらからいちゃいちゃすんなや〜、ご両人?」




涙目になりながら振り返ると、そこには茶髪の男が立っていた。



制服のボタンはだらしなく開き、あちこちを着崩し、見るからに不良っぽい男だ。




「お前な…脈絡もなく暴力を働かれる苦しみがわからないのか?」



「わかりませーん」



「このバカ春がああぁ!!!」



「きゃー!
奈津くんに襲われるー」



そう言いつつ、不良っぽい少年はニヤニヤ笑っていた。



さりげなく奈津の足をひっかけて転ばせ、大爆笑してたりする。




この少年の名前は水谷春(ミズタニ ハル)。



奈津の親友(?)的ポジションに立つ少年である。



性格はサドっ気に溢れ、いつもおちゃらけている。



しかし、実のところ、この水谷春という少年、顔がいい。



陰で好意を寄せている女子が後を絶たない、という噂もあったりする。