危険な彼女

「………黙ってればかなりかわいいよな、桜って………」




俺は自然と笑みをこぼした。


それは仕方がない。

認めざるをえない。


桜はかなりかわいい女の子だ。





………ただし、ただ立っていればの話だが。






「………む」




少し落ち着いてきたところでようやく頭が回転し始めた。


そして、このままではヤバイと気づく。




「このままいくと………


こんなぴ、ぴったり寄り添った状態を係員に見られるのか?」




―それはマズイ。

非常にマズイ。


良からぬ誤解を与えるに違いない。



きっと係員は、“俺はこんな休日に遊園地で仕事してんのに、堂々とお熱いカップルっぷりを見せやがって…”、と舌打ちするに違いない。




それだけは阻止しなければ。


俺の良心が痛む。

ってか、俺達はカップルじゃねぇ。