危険な彼女

〜桜Side〜



「いいわよいいわよ!!!!


こうなったら私一人で乗ってやるんだから!!!」




私はそう言って一直線に観覧車へ向かって走り出した。






実は私には観覧車に対する憧れとゆうものがある。


小さいときに見た、観覧車からの景色が私の脳裏にはとても根強く残っているからかもしれない。


あの時に見た観覧車からの夕日は今までで1番眩しく…そして、綺麗だった。



………なのに、あの馬鹿は。





私はぎゅっと唇をかみながらさらにスピードを上げた。





―――――――――――――――






観覧車の前には数人だったが列ができていた。


まあ、時間が時間なので親子ずれなどではなくカップルばかり…



はっきり言って、これに一人で乗るのはあきらかに場違いだった。




「………馬鹿」




思わずつぶやいてしまう。


奈津があんなことを言わなければこんな思いをすることもなかったはずなのだ。



「次の方、どうぞ〜」




――………奈津の…馬鹿。



私は心の中でつぶやき、観覧車に乗り込み、座席に座った。




……………





『ちょっ…す、すみません!!!
通して下さい!!!!』




うつむいていた私の耳にとどいた誰かの声。


そして、次の瞬間、その誰か…は
息を切らしながら観覧車に飛び乗ってきた。