〜春Side〜





「ねぇ、春君………」




さっきから少し緊張した感じで俺を見上げてくる少女。


ものすごくかわいらしいので…




無性にからかいたくなる。




「ん、どないしたん?」



「あ、あの………
何で私を………?」





―………何で私を?


……………




多分、何で私を連れてきたの?
…とゆう意味だろう。


控えめに尋ねるので少々理解に時間がかかってしまった。





「あ、それはやな………」



少し間を置き、口を開く。




「…キューピッドっちゅうんは勝負事にフェアなんや♪」



「………え?」



「カカカ、わからんならそれでえぇ♪」





俺は耐え切れなくなった笑いを押し殺すかのように歩くスピードを上げた。


それに気付いた亜紀は慌てて自分の歩くスピードを上げる。



といっても、俺の早歩きは亜紀の走りに匹敵するらしく、亜紀はほとんど走っていたのだが。







「さ〜て、桜はどうするんやろうな〜?」




俺は亜紀に聞こえない声で
空を見上げながらつぶやいた。