危険な彼女

「はあ…はあ………」




お化け屋敷から脱出するなり、
桜はへなへなと座り込んだ。


どうやら相当疲れたらしい。




「ふぅ………
何とか出られたな」



「ふぅ、何とか出られたな………
じゃないわよっ!!!」




バシッ!!




「いてっ!!!

な、何すんだよ!!?」




あろうことか桜は座り込んだまま俺の膝裏に蹴りをいれた。


必然的に俺は前のめりに倒れた。




「ちょっとは私の体力を考えなさいよ!!!
あんたはよくても私はものすごく疲れるのよ!!!」



「な………
お前が俺に恐い、だなんて言うからだろうがっ!!!!」



「う…うるさい!!!

さ、さっきのはちょっと油断しただけなんだから!!!
お化けなんて非科学的なもの全っ然恐くなんてないんだから!!!!」





はあはあ、と呼吸を整えながら俺に罵声を浴びせる桜。


わけがわからない俺は口をぽかんとあけるしかなかった。


さっきまでびくびくしてたやつが外に出るなりもとどおり。

その変わり身の早さ、逆に素晴らしく感じる。





「いい?
さっきのことは忘れなさいよ?」



「はいはい」




びしっと人差し指を俺に突き付けながら桜は念を押すように言ってきた。


俺は呆れながらも渋々了解する。