危険な彼女

桜が今……こわい、そう言った。


はっきり言って、ありえないと思った。



だって、いつもあんなに強気で自信に溢れていた桜がこわい………、そんなことを言うだなんて………





「馬鹿、何で入る前に言わなかったんだよ?」



「…だって………」




その声にいつものような強さは感じられなかった。


この感じ、俺は知っている。



……そう、あのときの……


屋上で泣いていた桜に似ていた。





「お前、こうゆうの苦手だったんだな………」




本当に意外だ。


桜なら例えお化けであっても容赦なくボコボコにすると思っていたが違った。




本当の桜はこうゆうのが苦手で…


普通に恐がって………


普通におびえて………





思わず下唇を噛んだ。

自分の軽率さに腹がたつ。





………俺の思い込みだった。


桜は………みんなと同じ………



普通の、女の子らしい女の子だったんだ。