ことばにできない

外でも病院でも、ひたすら人目が気になり、私は顔を隠して歩いた。

外出すると必ず、ヒソヒソと声が聞こえるのだ。

時には周りの人がみんな、私を指さしながら噂しているような気すらする。
ハッと見回すと、誰も自分を見ていない。


誰も見ていない…そう分かっていても、私は外出が怖かった。


やっとの思いでアパートと病院を往復していたある日、アパートに戻ると、大家さんが訪ねてきた。大家さんより少し若い、中年の女の人と一緒だった。

「お話があるの」

大家さんに言われて、私は二人を部屋へ入れた。