何回目かの給料日、新しいシャツを一枚買った。
母のためにも一枚買って帰った。

母は嬉しそうに、ローズピンクのブラウスに手を通した。


翌日の昼過ぎ、母が私の職場に現れた。

新しいブラウスを着て、派手に化粧をしている。

そして、酔っぱらっていた。


店長夫妻に向かって、大げさにお辞儀をした。

「娘がお世話になりまして」


それから、仕事中の私に向かって来た。

「お給料、たっぷり頂いてるんだね。ありがたいわねえ」


そして、アルコールの棚から缶チューハイを一本とった。

「これ、娘が払いますから」

「お母さん、ダメ!」

私が叫ぶのも聞こえないふりをして、母は店を出ていく。



「あの方がお母さん…」

店長夫人が呟いた。

恥ずかしさで泣きたくなった…