私は猛烈に腹が立ってきた。そして…

私のどこに、それだけのパワーが潜んでいたのだろう。


私は部屋に上がるとまず、流しの上の窓を開けた。

それから部屋の奥まで進み、一つしかない窓を全開にした。

入り口に戻りながら、コップと酒瓶を母から取り上げた。

酒瓶を片づけ、コップを水ですすいで、近所のコンビニへ行ってゴミ袋を調達した。



5分足らずで戻ったら、母が酒瓶を取り出してコップに注ごうとしていた。

コップに水を入れて母に渡し、酒瓶を空にし、部屋中のゴミをゴミ袋にまとめた。

部屋の隅に放り出されていた布団を、窓にかけて干した。


隣の大家さんを訪ね、掃除機を貸してもらった。

部屋に戻ると、母が私のハンドバッグを開いていた。

怒鳴りつけて取り返し、バッグを手に持ったまま部屋中を掃除した。

母が大声で私を罵っていたが、無視した。


掃除しながら、保険証を探した。

 あった。

 奇跡だ。
 
私はそれを、自分のバッグに入れた。


部屋は一応、人間の住む場所らしくなった。

(なんか、疲れた…)

座り込んだら、朝の頭痛と体のだるさがよみがえってきた。