夜が明け、通勤の人並みが窓の外を通り過ぎていった。

その波が退いた頃、私は立ち上がった。

頭痛がして、体がだるかった。
熱があるみたいだった。

風邪薬を買おうと思ってドラッグストアへ行った。

薬剤師はいろいろ体調を聞いた挙げ句に、

「受診された方が良いと思います」と言った。

受診って…保険証がいるよね?

「家に帰って、保険証をとってこよう」

不意にこんな考えが浮かんだ。


二年前に出てきた街へ向かうために電車に乗った。
座席に座った途端、私はずっしりと疲れを感じた。

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