最初の男は「これでどう?」と片手を広げた。
五千円かと思ったら五万円くれた。

ビックリ。

翌日、同じような生活をしている子にそれを話したら、
「安売りしちゃダメだよ」
と言われた。

しばらくその子と一緒に行動して、値段のつり上げ方を覚えた。


男に連れられて入るホテルは、男によってピンキリだった。
シャワーと清潔なタオルがあれば、私は満足だった。

だが、男を選ぶときには用心した。

少しでもアイツと同じにおいを感じたら、パスした。

それでも外れを掴むこともあった。
あの頃のことを思えば、大概のことは我慢できた。


ただ、妊娠だけは気をつけていた。
あんな屈辱的な思いは、二度としたくない。