私は自分のことを、美人だと思ったことは一度もない。

ただ、

白い肌、
大きな瞳、
長いまつげ、
細い手足、

そんな外見を、私は母から受け継いでいた。

そして大多数の女の子たちが、私のような外見を欲しがっていることも知っていた。


この大きすぎる眼も、細すぎる顎も、神様からのせめてものプレゼント。
これだけが私の武器。
上手くメイクしたら、私は少女雑誌の表紙並みになる。

そう信じて、私は東京へ向かった。


電車に乗って一時間弱。

目指した繁華街は、別の惑星みたいだった。

ここでは誰も、私に深入りしない。
居心地は最高…


メイクをばっちり決めた女の子が、高校の制服と鞄を身につけたまま、昼間の繁華街を堂々と闊歩していた。

私は周りの子をじっくり観察してから、百円ショップで買い物をした。

化粧品とシュシュとバッグ。

ファッションビルのトイレでメイクしたあと、ファストフード店に入った。

オレンジジュースを飲みながらぼんやり外を見ているだけで、何人もの男から声を掛けられた。




男を渡り歩く生活が始まった。