「そのメール、すぐに、戻って来ちゃった。
アドレスがないって。
何回送ってもだめだった」


小さく嗚咽が聞こえた。


「携帯があるから、いつでも繋がっていられると思ってたのに。
携帯でしか繋がってなかった。


アドレス変えられちゃったらもう、他人なんだね」




少女の声を聞きながら、私は十年前を思っていた。