缶入りのミルクティーは、すっかり冷たくなってしまった。

ここに二人きりで、どのくらい座っていたのだろう。

彼女の声を聞きながら、私が思いだしていた私の過去を、
彼女が知ったら、なんと言うだろう。


私は彼女に、自分の過去の不幸を伝えたいとは思わない。

ただ私は、彼女の不幸を他人事とは思えない。




私もずっと、自分だけが特別だと思っていた。
自分を大切に思えなかった。
手放したくないものなど何もなかった。


今は違う。

こんな私が生きている日常こそが、私にとってはとても大切なもの。

些細なことで笑ったり、怒ったり、泣いたりする毎日が、たまらなくいとおしい。
この平凡な日々を、決して手放したくないと思う。