「二人で部屋を借りるよりも、家族と一緒に住みたい」 結婚するときに私はそう言った。 義父母が手放しで喜んでくれた。 「家族が欲しい」 それはある意味では本心だった。 私は温かい家族を知らなかったから。 夫の家族の一員になりたいと、心から思っていたから。 でも、実は… 家族を求める一方で、私は、 照哉さんと完全に二人きりになるのを、怖れていたのだった。