ことばにできない

「かあちゃんが、早く迎えに行ってやりなって、うるさくてさ。
でもまあ、俺も五時には起きてたんだけど。
大事な嫁さんだもんな。かあちゃんに言われなくたって、迎えに来るさ」

にっこり笑ってそう言ったあと、夫は真顔で私の目をのぞき込んだ。

「大丈夫か?」

「大丈夫。ありがとう」

そう言うなり泣きじゃくる私を、夫は優しく抱きしめた。