「いえいえ」
彼女は気にしてないよという顔で答えてくれた。
僕は今言った言葉に後悔していた。何、あの、今朝のドアをぶつけた人ですって、馬鹿、俺カバ、違うだろ、そんな言葉はいうんじゃねぇーよ僕。二度と言うなよ。僕のカバじゃなくて馬鹿。そんなことを思いながら、僕のことを認識してくれていたようでうれしかった。まあ、一般的に見れば忘れないけどね、30分ぐらい前だから。しかし、もしこれで、誰と言われたら。僕死んじゃうぐらい、ショックを受けていたに違いない。よかった。本当によかった。
すると彼女が聞いてきた。
「あなたもこちらの大学に入学したんですか」
「ええ」
僕は答えたが、いままさに僕の心臓が爆発しそうであった。君との出会いにより。マジで恋する5秒まえって感じである。いや、もうすでに恋しちゃってます。恋に盲目しています。これはチャンスだと僕は思った。いや、これを逃すと二度とない。というか一生ない気がするので、すかさず名前を聞いた。
「ええっと、僕の名前は、無敵 王、君の名前は??」
すると彼女は優しい笑顔で答えてくれた。
「これはこれは、自己紹介がまだでしたよね。私の名前は平等院 春(びょうどういん はる)といいます。春と呼んで下さいな」
彼女は言ってくれた。これが彼女(平等院 春)との出会いの始まりだった。
僕は、春の日、spring dayを感じていた。