大人の女と男の関係

その少し前、私は島村と付き合い始めていた。


実はその日はその報告もしようと思っていた。


しかし、成哉が酔っ払ってしまい、タイミングを逸した。


テーブルに突っ伏した成哉が起きるまで、私は成哉の寝顔を見ながら飲んでいた。




そして、その2ヵ月後。


夏の終わりの蒸し暑い日、私は成哉を新宿のビヤガーデンに呼び出した。


少しは失恋の傷が癒えたかと思って聞いてみると。


「香菜さんさ、福本由宇ってまえに塾講師やってた子、覚えてる?」


「ああ、元カノでしょ?」


「うん、彼女からこの間連絡があって、会ったんだ。
そしたら、また付き合いたいって言われて」


「へえ、よかったじゃない。
彼女、男性恐怖症は治ったの?」


「うん、少しずつ平気になってきたって」


「そう、良かったね」


不倫よりもずっと健全な付き合いに私は微笑んだ。